画面いっぱいに、小さな棒が左から右へ並んでいます。背の高いもの、平たくつぶれたもの、上や下に細い線だけが針のように伸びたもの。拡大して、いちばん右の一本だけを見つめてみてください。みなさんがローソク足の見方を覚えるとき、最初に読むのは並び全体の形ではなく、この一本に入っている数字です。
教科書どおりの形を信じた私の見方
教科書に載っている形を根拠に買ったものの、その後、逆に動いて損をしたことが何度もあります。講座でも「この形は上がります」と言い切り、翌週に株価がきれいに逆へ動いたことがあり、それ以来、反例を必ず示すようにしています。
いま振り返ると、あのとき私が見ていたのは一本の「形」だけでした。形はおぼえやすく、見つけた瞬間に意味がわかった気になります。見落としていたのは、形を作っている数字を確かめる手順でした。
見落としていた四本値の見方
さて、ローソク足一本には四つの価格が入っています。始値・高値・安値・終値で、まとめて四本値と呼びます。日足なら1日、週足なら1週間の値動きを、一つの記号にまとめたものです(日本取引所グループによる株価チャートの説明)。
つまり、形は四つの数字の結果にすぎません。私が見落としていたのは、足の期間と、その四つの数字そのものでした。確認の順番としては、まず日足・週足など、足がどの期間を表すのかを確かめ、次に始値と終値の位置を見て、最後に高値・安値まで伸びた線を見る。この順に追えば、一本の値動きは整理できます。ここがポイントです。
実体の見方
始値と終値を結ぶ太い部分が実体です。終値が始値より高ければ陽線、低ければ陰線として読みます(日本証券業協会が制作した投資教育の解説)。色はツールの配色で変わりますから、色ではなく、始値と終値のどちらが上かで判断してください。始値と終値が同じ値なら、四角はできず線だけになります。
実体の長さは、始値と終値の差です。長い陽線なら、その期間に終値が始値を上回った幅が大きかった、と読めます。勢いの強弱として解釈する考え方もありますが、それは目安であって、売買された量そのものを表す数値ではありません。量のほうを確かめたいなら、下段に並ぶ出来高の見方を別に見ることになります。
ヒゲの見方
実体より上に伸びる線が上ヒゲで、期間中の高値を示します。下に伸びる線が下ヒゲで、安値を示します。始値または終値が高値・安値と一致した側には、ヒゲはできません。
上ヒゲが長い形は、高値まで上がったあと終値までに押し戻された値動きで、売りの抵抗があった可能性を示唆します。下ヒゲが長い形はその逆で、安値まで下がってから戻した値動きです(マネックス証券によるローソク足の解説)。私がつまずいたのは、この「示唆」を「証拠」に読み替えてしまったところでした。
数字で数えるローソク足の見方
では、実際に数えてみましょう。ある一本の四本値が次のようだったとします。
| 項目 | 長さ |
|---|---|
| 実体 | 6 |
| 上ヒゲ | 4 |
| 下ヒゲ | 5 |
| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 始値 | 100円 |
| 高値 | 110円 |
| 安値 | 95円 |
| 終値 | 106円 |
上の四本値は、定義から私が組み立てた説明用の数字で、実在する銘柄の値ではありません。
終値が始値より高いので陽線です。実体は6円、上ヒゲは4円、下ヒゲは5円になります。ぱっと見では下ヒゲが目立つ一本ですが、数えてみると実体がいちばん長い。形の印象と数字の順位は、こうしてずれることがあります。
一本では決められないことの見方
ここで反例を一つ。四本値がそろっても、期間中にどの順番で価格が動いたかはわかりません。先に高値をつけてから安値まで落ちたのか、安値から始まって高値を試したのか、一本の記号は区別しません。まして、売り手と買い手が何を考えていたかは、四つの数字からは出てきません。
ですから一本の形は、売買の力関係を考える手掛かりとして扱うところまでです。形に名前がつく場合も同じで、ローソク足パターンの見方で整理したとおり、同じ形が逆を向く例は珍しくありません。
一本のローソク足が教えてくれるのは、始まりと終わり、そして行った先の上と下、この四つだけです。そこだけは覚えておきましょう。
